大切な愛犬が亡くなった後の喪失感はなかなか癒えることがありません。
心を救うものはなんであれ必要です。
できればそれは負の要素を含んだものではなく、理想的なまでに「正」であるほうが良い。
これは現実問題ではなく、「傷ついた心」を救う手段だからです。
少女趣味であろうが現実と差異があろうが、心を救うという目的を果たせればなんの問題もありません。
人間は自分の大切な相棒を亡くした喪失感や悲しみやそのすべての心の傷を癒すために色々な方法を試みて来ました。
そして、色々な「心を癒すための作品」を生み出してきたのです。
私は今まで相棒を亡くすたび、色々な作品に出会いましたが、全てが私の心を埋めてくれるというものではありませんでした。
曲であれ、絵本であれ、小説であれ、映画であれ、何かしら小さなひっかかりを感じていました。
しかし、まぐろさんの死が思ったよりも重くのしかかった時、過去の相棒とのお別れも全て納得させてくれるような作品に出会ったのです。
それが僕のワンダフル・ライフ (吹替版)という作品でした。
- 僕のワンダフル・ライフは「再会」という希望に期待を抱かせてくれる
- 犬の運命の相棒になることが大切と思わせてくれる僕のワンダフル・ライフ
- 感情移入しすぎる場合は原作「野良犬トビーの愛すべき転生」がオススメ
- 父の想いもカタチにしてくれた続編「僕のワンダフル・ジャーニー」
- 原作のタイトル「Dog's purpose 〜犬の決意〜」
僕のワンダフル・ライフは「再会」という希望に期待を抱かせてくれる
愛犬を亡くした後、心を大きく揺さぶる想いはいつも、「もう一度会いたい」という気持ちです。
その気持ちはもう一度相棒に会えるのならば悪魔に魂を売ってしまうことも厭わないくらいに強いもので、その想いが頭に浮かぶと、そこに希望がないぶん、飼い主の心を千々に乱れさせてしまいます。
様々な想いは、いつも「もう一度会いたい」という気持ちに集約され、繋がっています。
飼い主さんの心がいつまで経っても癒えないのは、この「もう一度会いたい」という気持ちが叶わないからです。
この作品はそこに一筋の光を与えてくれます。
原作の著者であり、脚本にも携わったキャメロン氏は、愛犬を亡くして心を痛める恋人のためにこの物語を思いついたそうです。
物語というのはいつもそうやって誰かを救済するために作られるのです。
自分の相棒と共にあることを決意し、何度生まれ変わっても相棒イーサンを求め続けるベイリーの想いに、我々、愛犬を亡くしてしまったものは、僅かな希望を見出します。
もしかしたらという小さな希望で充分なのです。
犬の運命の相棒になることが大切と思わせてくれる僕のワンダフル・ライフ
作中でベイリーはイーサン以外の飼い主のところへも転生します。
ところがベイリーはそこで一生懸命に飼い主さんのために生きますが、結局、イーサンの元への転生がベイリーにとっては目的のように感じます。
違いと言えば、他の飼い主さんは、ベイリーに「運命」を感じさせないという事です。
イーサンとベイリーは子犬の時に出会い、そしてイーサンは途中で離れ離れになることはあっても、ベイリーの最期を看取ります。
愛犬が再び自分の元に戻ってくるためには、最期まで看取り、愛犬に運命の相手は自分だと感じてもらうことが必要なのだと感じます。
ですから、犬の運命の相手になるために我々は愛犬が元気なうちに愛犬との絆を深く深くしておく必要があるのです。
そして犬の最期を看取るという責任を果たさなければならないのです。
感情移入しすぎる場合は原作「野良犬トビーの愛すべき転生」がオススメ
残念ながらどんなに頑張っても、犬を飼ったことのある人はこの映画を観ると泣きます。
中には号泣する人も居ると思います。
コメディであるにも関わらずです。
実はかくいう私も、最初は映画の内容がちゃんと入ってこないのがイヤで全く手をつけていませんでした。
そこで、文章であれば多少泣くことも少ないかもと原作を先に読む事にしました。
小説を読むのが面倒でない人はこちらもオススメします。
いっとき、犬になった気分が味わえますよ。
まあ、結局、読み終わった後に泣いてしまうのですけれども。
父の想いもカタチにしてくれた続編「僕のワンダフル・ジャーニー」
うちの父はとても犬の好きな人でした。
犬との付き合い方を教えてくれたのは父でした。
そしてその父はいつも私たち子供のお守りを犬にお願いしていました。
そしてその犬たちは、父のために、私の悩みを聞いたり、失恋から立ち直るために目の前を元気に走る姿をみせてくれました。
父の犬たちは、私にとっても大切な親友で兄弟でした。
では父の犬は私と父どちらのところへ転生してくるのでしょう。
そんな疑問にとても優しく応えてくれたのが続編である僕のワンダフル・ジャーニー (字幕版)でした。
父が亡くなった時、父の犬たちはみんな役目を終えて父といっしょに天国で寄り添って暮らすことになったのでしょう。
原作のタイトル「Dog's purpose 〜犬の決意〜」
何度転生しても運命の相棒イーサンのところに戻り、イーサンと暮らすことを望むベイリー。
それはタイトル通り、「犬の決意」でした。
我々が逝ってしまった相棒ともう一度再会するために必要なのは、犬にもう一度「決意」をしてもらうために、「僕は(私は)あなたのために生まれてきたんだ!」と感じてもらう生活を送る必要があります。
私は、すでに愛犬を見送り、後はまぐろさんが再び戻ってきてくれることを待つばかりです。
けれども、今まさに犬との暮らしを謳歌している人は、「再会」に関しては考えづらいことと思います。
毎日を相棒のために、どうか後悔のないように、一生懸命楽しく笑って生きてください。