階段が億劫になっても散歩に行くのは吝かではないまぐろさん (@magurogu_fun) | Twitterは、イヤなことをされても、ギリギリまで吠えません。
吠えるのはまぐろさんが、痛い時、どうしてもして欲しい要求(例えば水が飲みたいとか)が長い間叶えられなかった時、後は舐めている相手からカツアゲする時くらいです。
それでもしつこく吠えることはほとんどありません。
昨今、Twitterなどで無駄吠え防止策について色々語られています。
世の中にはこんなにも吠えるということについて悩む人が多いのだなと驚いています。
母ちゃんと犬たちの間では無駄吠えはすでに解決された問題であり、暴力や痛みで解決する問題では無いことも明白になっているのですが、世の中はまだまだそうではないようです。
世の中には吠える行為を辞めさせるための残酷な道具がまだ蔓延し、痙攣するんじゃないかというほど吠えている小型犬を放置している人がたくさんいます。
これは、そういう人に向けて書いてはいません。
もちろんそういう人がたくさん居て、それも大問題であることは承知していますが、まず、犬との暮らしを楽しみたいと思い、自分の愛犬を愛し、なんとか問題を解決しようとしている飼い主さんたちのほうが最優先で、そういう飼い主さんたちならば、犬の笑顔を引き出すことは難しいことではないと思うので、そういう飼い主さんに向けて書いています。
すでにそういう飼い主さんは、色々試されて努力されていて、そんなことは知っているよという方も多いかもしれませんが、それでも吠えるということで悩んでいる方や、他に解決策をお持ちの方は、コメントいただけると、他の飼い主さんの役にも立つかもしれません。
さて、まずは犬が何故吠えるのかについて語りたいと思います。
犬の《無駄吠え》は人間のため
犬はオオカミよりもよく吠える動物です。
オオカミが吠えるという印象はみなさんあまり無いと思います。
学術的には犬の祖先であり、ほぼほぼ同じ動物に近いのですが、オオカミよりも犬のほうがよく吠えます。
オオカミは遠吠えをするという印象ですが、犬はワンワンと吠える印象でしょう。
犬は人間に作られた動物だと言われています。
人間が最初に自分たちの利益のために家畜にした動物というわけです。
そうなると、犬は人間が吠えるように育ててきたと考えるのは当然の流れだと思います。
犬は何故吠えるのか?
前にも書きましたが、犬は人間に危険を知らせるために、吠えていたそうです。
人間はそれを重宝がり、犬を傍に置きました。
人間は道具を手にして最強になりましたが、やはり、能力的には脆弱な生き物でした。
丸腰では危険な野生動物には勝てません。
危険な野生動物に勝つためには、先にその存在を認知する必要がありました。
闘うにしろ、どこかに隠れるにしろ、相手がこちらに気づくより早く、存在を認知する必要があったわけです。
おそらく最初はアラートとして犬同士のメッセージを利用したはずです。
いわゆる、番犬の役割が犬に与えられた最初の仕事だったでしょう。
犬が傍に居ると早く危険を認知できる。
それに気づいた人間は犬が傍に居てくれるように色々と試行錯誤したと思います。
その後は、アラートとして役に立つ犬にするために、吠える犬を作出することを考えたのではないでしょうか。
やがて犬と共に暮らすようになった人間は、その能力を狩りにも利用できることに気づきます。
犬は人間の持つ道具で自分たちだけで狩りをするよりも楽に獲物をゲットできることを知ります。
犬と人間のバディ関係の始まりです。
おそらくバディの最初は、狩猟犬だったと思います。
やがて人間は大人しい動物を家畜にするということを覚えました。
しかし、人間の力だけでは動物を思い通りにコントロールすることは難しく、能力の高い手助けが必要です。
そこに犬が居ました。
人間は見張り役として使っていた犬に、家畜をコントロールさせることを考えました。
これが牧羊犬です。
そして、しばらくして、文明が発展すると、身分の高い人々は自宅で泥棒避けに小型犬を飼うことを考えました。
愛玩犬のはじまりは、泥棒避けに飼われた小型犬だったと思われます。
室内で飼うので、やはり見た目が美しいものが好まれたわけです。
お気付きの通り、人間にとって犬は吠えることが必要でした。
よく吠える犬ほど役に立つ犬でした。
さて、では今はどうでしょう。
人間は色々なモノを発明し、システムを構築し、狩りをする相棒にも、アラートとしての役割にも、牧羊を手助けする補助にもほとんど犬を必要としなくなりました。
吠えるという行為が必要なくなったのです。
かつて重宝していた吠える犬はバカ犬扱い。
人間の都合で吠えるように作出されたのに、いざ、吠える必要がなくなると、吠えるから嫌いとか、吠えなければいっしょに暮らしても良いとか。
酷い話だと思いませんか?
ただし!
ここは人間社会です。
やはり人間に合わせていかないと犬は生きていけない動物なのです。
犬との関係は主従なのか?
前述した通り、犬は人間に危険を知らせるために吠えることを要求されて来ました。
これはよく議論されることですが、では犬と人間の関係は主従なのでしょうか?
もう一度、太古の人間と犬の関係に立ち返ってみると、どう考えても、犬と人間はウィンウィンの関係であったと思えてなりません。
犬は人間が絶対的な支配者であるから言うことを聞いたというよりも、人間と付き合ってたら得なことがあるから協力しましょうということに思えてなりません。
太古の人間は、どうやったら犬に働いてもらえるのか必死で考えたはずです。
主従というと、主人と奴隷といった関係を想像しますが、そういう意味では主従関係ではないと言えます。
やって欲しいことやって欲しくないことがお互いにあり、お互いの社会性を考え合わせて、太古の人間は犬との関係を構築していったのだと思います。
それは主従というより、相棒といったほうが良いでしょう。
少なくとも母ちゃんはそう思います。
そしてその関係は、犬と人間の関わり方が大きく変わった今でも、本質だけは変えるべきではないと考えています。
犬は吠えないほうが長生き?
吠えるというのは犬が人間と信頼関係を結ぶにおいてとても大事な要素でした。
吠えなくても良くなった、むしろ、吠えてもらっては困るというのは人間の都合で、犬側の都合ではありません。
誰かそれを犬たちに説明してあげたでしょうか。
かつて我々人間の祖先が、なんとか犬との意思疎通をはかり、役に立ってもらおうとしたように、誰か根気強く犬を説得した人がいたでしょうか。
それをした人がもしいたとしたら、15歳を超える高齢犬を看取った人たちです。
高齢犬を、看取った人たちが口を揃えていうのは、最期には吠えて大変だったということです。
「最期に吠えて大変だった」ということはかつてはあまり吠えなかったということです。
吠えない犬が長生きなのか、吠えないから長く生きながらえたのかはわかりません。
それでも、若い頃からワンワンと良く吠える犬を最後まで看取ることは少ないようです。
母ちゃんの個人的な見解は、最期を看取るほど犬の事を考え、犬の気持ちに寄り添ってきた飼い主さんであれば、犬は危険を知らせる必要も、何かを狩ってお互いのお腹を満足させる必要もないから犬は吠えないし、良い子に育つから、ストレスも少なくて済むというものです。
犬も吠える必要がないなら吠えないほうがよいのです。
日がな1日のんびりと飼い主さんと笑顔で生きていきたいと思っているのは想像に難くないのではないでしょうか。
犬の《無駄吠え》はどんな時に行われるのか
さて、犬にとって「無駄」な「吠え」はひとつもないということをご理解いただいた上で、では人間社会で「無駄吠え」と言われるものはいったいどのような状況で起こるのでしょうか。
危険を知らせたい
かつて番犬として優秀であった犬は、人間という家族に危険を知らせようとして吠えます。
道の向こうから猛スピードでやってくるうるさい音を立てるバイク。
自分たちを危険に晒すかもしれない自分の家族ではない犬や人間。
自分たちの縄張りに侵入して来ようとする郵便屋さんや、宅配のお兄さん。
犬の立場に立つと、人間社会はまだまだ危険なことだらけです。
このパターンで犬が吠えるのは危険だと思っているからです。
すれ違うもの全てに危険だと吠えて知らせてくれるのはありがたいことですが、これでは楽しくお散歩をすることなどできませんし、のんびりお家でくつろぐことなど夢のまた夢です。
さて、ではどうすれば良いのかというと、犬に危険ではないということを教えてあげれば良いのです。
方法は、状況や環境などによって違いますが、小さい頃から色んなものを見せ、ひとつでも多く、危険ではないことを教えてあげることが必要だと思います。
お散歩中、吠えそうになる犬のタイミングを観察し、吠えなくても大丈夫だよ。守ってくれようとしたんだね、ありがとう。でも、あれは危険じゃないんだよ。と教えてあげることがとても大事で、しつけ本などに書いてある早めの社会化というのは、こういうことです。
ただただ何かを見せるというより、危険でないんだよ。ということを、教えてあげることが社会化における重要な事象なのです。
存在を示したい
牧羊犬であったグループの犬は、コントロールする動物に「僕はここにいるよ!」と知らせるために吠えます。
このように、自分の存在を示すために吠える犬も多く居ます。
そういった特性を持つ犬のほうが牧羊犬には向いていました。
さて、現代の集合住宅で人間といっしょに暮らしている犬の中にももちろん自分の存在を知らせようとする犬はたくさん居ます。
「僕をみて!」
というタイプの犬はいつでも声をかけてあげて、飼い主さんが一生懸命観察してあげれば、満足して吠えるのを辞める犬が多いです。
むしろ、このタイプの犬は、声をかけたり、いっしょに遊んであげることで満足するので大変楽に吠えることをやめさせることができます。
飼い主さんの好きなタイミング、楽なタイミングで思い切り遊んであげたり、「どうしたの?」と聞いてあげるだけで、驚くほど吠えなくなります。
何かをして欲しいまたはして欲しくない
存在を知らせたい犬の少し進んだもので、自分が何かして欲しい、して欲しくない時に吠える犬がいます。
世に言う「要求吠え」というものです。
これを辞めさせるにはひとつ大切なことがあります。
そもそも犬の要求を正しく把握するということです。
ここが正しくできないことは、残念ながら多々あります。
未だに母ちゃんでさえ完璧だと言い難いです。
幸い、吠える状況をほとんど作らない我が家ではまぐろさんも過去にいっしょに暮らした犬たちも、要求をする時は、小さく「きゅんきゅん」言うだけでしたので、ごめんごめんと謝って、他の方法を探ることができます。
けれども、たまに、「どーーーーしても、母ちゃんから離れたくない!」とか、「どーーーーしてもそれはやられたくない!」と言う時に、「あうううう」という吠え方をします。
犬は人間の言葉が喋れませんので当然の事態と言えます。
それは本当に緊急事態ですので、母ちゃんもできるだけ要求に応えます。
しかし、普段吠えそうになった時に全てが叶えられるわけではないので、まず正確に要求を認知しなくてはなりません。
そこで、母ちゃんは魔法の言葉を開発しました。
「どうしたの?」
です。
無駄吠えさせない飼い主になる
これはすんごい眉唾に聞こえるのは仕方ないと思うのですが。
「どうしたの?」
で、本当に犬の無駄吠えの多くが解決するのは、母ちゃんの中では曲げられない事実なのです。
もちろんこれは、愛犬を相棒として愛し、本気で問題と対峙し、犬から感じ取ったものをなんとかカタチにしようとする飼い主さんにのみ通用する方法かもしれません。
犬に無駄吠えをやめさせるには、犬を無駄吠えしないようにしつけるのではなく、飼い主さんのほうが
「犬に無駄吠えさせない飼い主になる」ことが必要だというのは、母ちゃんの曲げられない信念です。
そして、それを我が愛犬たちは、ちゃんと体現してくれています。
無駄吠えする犬の気持ちに寄り添う
どういう飼い主が犬に無駄吠えさせないのかというと、犬の気持ちに寄り添う飼い主さんです。
感情移入するのではなく、犬の気持ちに寄り添い、どうして吠えるのか、何をすれば吠えなくても済むのかを常に考えることで、驚くほど犬は吠えなくなります。
きっと、これを最後まで読んでくれた飼い主さんは、それが可能だと信じています。
「どうしたの?」
しつこいくらいにこの言葉が犬に差し出されるでしょうから。